好き好きアーツ!#64 現代アート風写真編

20260329 02.
【ホアン・ミロの作品に見えてしまう地面のペンキ跡】

SNAKEPIPE WROTE:

2022年2月に書いた「好き好きアーツ!#55 失敗写真編」は、SNAKEPIPE自身が気付かないうちに撮影されていた画像を紹介した記事だった。
そのため「失敗写真」として特集したんだよね。(笑)
今回の記事は「現代アート風写真」。
ふと目にした風景が「現代アート!」のように見えて、SNAKEPIPEが意図的に撮影した写真だよ!
皆様はどんな感想をお持ちになるかな?(笑)

記録によれば、左の画像を撮影したのは2004年だったみたい。
撮影地は全く覚えてないよ。
今から22年前だからね。(笑)
白と黒のペンキを大胆に使用したアクション・ペインティングみたいじゃない?
左上にある丸い金具にも意味を見出そうとしてしまうよ。
まるで「具体美術協会」のアーティストによる作品みたい。
この構図で撮影したSNAKEPIPEは正解だね!(笑)

この時はROCKHURRAHと一緒に歩いていて、「うわっ」と揃って声を上げたっけ。
電信柱に残ったテープの跡が、まるで現代アート!(笑)
特に誰の何かに似ている、ということはないけど、最初に発した「うわっ」がアートなんだよね。
現代アートなら、何かしら解釈をつけるはずなので、考えてみようか。
・抑圧された感情が無意識下で連なっていく様子を表現
・現代におけるネットワークを通じた希薄な人間模様
陳腐だけど、何か意味をつけるならこんな感じ?(笑)
電信柱に広告貼ってる人は、面倒で下のテープを剥がさないまま、次を貼っていった結果がこれなんだろうね。
とても存在感があったよ!

続いてはこちら。
工事中の駅を撮影したものだけど、中央付近の黒いパイプも含めてアートな雰囲気だよね。
白い長方形は、ポスターか駅名が来るはずの場所なのかも。
昔から工事現場の風景が好きなSNAKEPIPE。
壊れていく過程に興味があるのかもしれない。
スクラップ&ビルドで、再生に向かう段階とも言えるかも?
何気なく見えた風景を特別な物として捉えるのは、楽しいね!(笑)

キラキラ光るシルバー色に光が反射して美しい。
鉄なのかステンレスなのか不明だけど、パイプなどの円柱形の削りカスなのかな。
このまま廃棄されるのかもしれない。
これを例えばガラスケースいっぱいに詰めて作品にしたらどうだろう?
もしくは椅子などに貼り付けてみるとか。
座れない椅子、として何か解説できそうだよ。
何に使うわけじゃないけど、欲しくなった素材だよ。(笑)

ジャクソン・ポロックか!(笑)
絵具やペンキを何回も塗り重ねて厚みがある作品みたいだよね。
黄緑から深緑のグラデーションが素晴らしいよ!
正解を言ってしまうと、実際は苔むした壁を撮影したもの。
かなりジメジメした場所だったので、苔が生えたんだろうね。
無作為に自然が創った美しさに感動したよ!
人は自然に敵わないという言葉に納得してしまうね。

白髪一雄かと思った!(笑)
本能の赴くままに白色ペンキを塗りたくる。
暴力的にさえ見える大胆な筆使い、只者じゃないよね。
恐らくペンキ職人の作業途中を目撃しただけなんだろうな。
部分として切り取っているので、作品に見えるよね。(笑)
この作業をした人がアートを意識して塗りたくったとは思えないので、偶然の産物のはず。
素敵な風景をありがとう、と感謝したいね!(笑)

最後はこちら!
2023年12月に書いた「奪われた自由への眼差し_監視社会の未来」のアニッシュ・カプーアみたい。
燃える炎のようなオレンジ色に目を奪われる。
真ん中辺りにひときわ明るい色が置かれているのが秀逸!
よく見てもらうと分かるけど、これは扉なんだよね。
オレンジに見える部分は恐らくサビと推測する。
鉄が錆びて浸食されて、このような状態になったみたいだよ。
なんとも美しい造形美だね!

今回は、たまたま目にした「アートみたい」な風景を特集してみたよ。
SNAKEPIPEが撮影しているから、これらは全てSNAKEPIPEの作品じゃないの!(笑)
失敗写真も含め、また企画していきたいと思うよ。
次回もお楽しみに!

映画の殿 第81号 宮廷女官チャングムの誓い編 part30


【チャングムのアニメ版?】

SNAKEPIPE WROTE: 

2025年9月に書いた「映画の殿 第76号 トンイ編」は、話数の長さのため鑑賞するのをためらっていたけれど、観始めると夢中になったドラマだった。
「太陽を抱く月」「秘密の扉」「恋慕」などのドラマと同じく朝鮮王朝が舞台で、きらびやかな衣装だったり身分制度や習慣についても知っている世界観だしね!

「トンイ」の監督イ・ビョンフンが、以前に手がけたドラマがU-NEXTで観られることが分かり嬉しくなる。
宮廷女官チャングムの誓い(原題:대장금 2003年)」は、当時の韓国はもちろんのこと日本を含む各国で大人気だったドラマだという。
2003年って今から20年以上も前だよ!(笑)
新しいドラマが次々と配信されている今、そんなに昔のドラマを鑑賞するのはどうかと思いつつ鑑賞する。
「トンイ」が面白かったので、54話の「チャングム」も、すんなり観てしまうに違いないよ。(笑)
あらすじとトレイラーを紹介しよう。

厳しい身分制度の時代に不幸な家庭環境に生まれた主人公チャングム(長今)が、シリーズ前半は宮廷料理人として、後半は女医として活躍し、「大長今(偉大なるチャングム)」の称号をもらうまでの波乱の半生を娯楽性豊かに描いた作品。(テレビ愛知より)

 

 

長いドラマの割にはあっさりしたあらすじだよね。
「トンイ」の時ろ同じテレビ愛知から引用させてもらったよ。
低い身分から成り上がっていく下剋上ストーリーは「トンイ」と似た感じだね。
※ネタバレしている可能性がありますので未鑑賞の方はご注意ください

主人公チャングムを演じているのは、イ・ヨンエ。
先日「調査官ク・ギョンイ」で観たばかりの女優だね。
「チャングム」の時、32歳くらい?
もっと若い時のドラマだと思っていたので、意外だよ。
チャングムは苦労しながらも、前向きで清廉潔白、努力を惜しまないタイプ。
最初は料理を学び、後には医学を習得する才女なんだよね。
聖人と呼ばれても良いほど、非の打ち所がない。
恨みを晴らすことが目的で始めた勉強も、いつの間にか恨みよりも人助けに重きを置いてしまうほど。
チャングムのイメージを持ったイ・ヨンエが大人気女優になるのも納得。
日本の女優なら吉永小百合の印象が近いかもしれないね。

「トンイ」の時と同じように、「チャングム」も子供時代から話が始まっているんだよね。
画像は少女時代のチャングム。
「チャングム」の子役で驚いたのはセリフの長さ!
暗記した役職名を口頭で答えるテストの時、この子供が本当に覚えて「そらんじて」いたんだよね。
これは大人でも難しかったはずだよ。
そんなに賢い子供なのに、ある一言を発してしまったせいで運命が変わってしまう。
チャングムは一生後悔したに違いないね。

チャングムの母親と父親。
母親は元水刺間の女官、父親は内禁衛の武官だった人物。
宮廷に上がった女性は、全て王様の物となっていることを初めて知ったよ。
そのため宮廷にいる女性は全員未婚者で、王様との間以外に子供を授かることはあり得ないことなんだね。
チャングムの母親と父親は、宮廷を出てから知り合って夫婦になっているため、チャングムが生まれている。
両親が何故宮廷を出ることになったのか、はドラマの肝なので言及しないでおこう。(笑)

「トンイ」の時に王様だったチ・ジニは、「チャングム」では文武両道の内禁衛従事官を演じている。
今でもつい「チョナー」と呼んでしまうね。(笑)
優しさのある正義の人だけれど、堅苦しくなく融通が利くタイプ。
身分の違いなども気にせず、誰とでも親しく接することができる良い人なんだよね。
自らの危険を顧みず、チャングムの応援をする。
「チャングム」は勧善懲悪ドラマなので、良い人はずっと良い人なんだよね。
チ・ジニはこの役も似合っていたよ。
馬に乗って疾走するシーンも、本人が実際に乗馬していたようでびっくり。
韓国人俳優の多芸には、いつも驚かされるよ!

水剌間のハン尚宮は、韓国でドラマが放映された時に大人気だったため、急遽ドラマが延長されたんだとか。
ハン尚宮は凛とした雰囲気を持ち、仕事に厳しいけれど、心の内には優しさがある女性。
芯の通ったブレない態度に憧れる視聴者が多かったんだろうね。
チャングムと縁があったことが分かった時、2人が駆け寄るシーンは感動的だったよ!
水剌間とは「スラッカン」と読み、王族の食事を支度する部署のこと。
実際の水剌間は男性がメインで仕事をしていたらしいので、「チャングム」での水剌間は脚色されていたみたいだよ。
水剌間でのシーンでは様々な料理が登場して、朝鮮王朝がバラエティ豊かで、贅沢な食事をしていたことが分かるよ。
美味しそうな料理がたくさんあって、食べてみたくなるね。(笑)

チャングムの母やハン尚宮と同期のチェ尚宮は、悪役キャラだよ!
先にも書いたように「チャングム」は勧善懲悪なので、悪人は完全に悪人なの。(笑)
憎々しげな表情を浮かべ、悪事に手を染める。
悪人というのは、どうしてこんなに知恵が回るのか不思議なほどだよ。(笑)
水剌間での地位だけではなく、悪知恵と財力で一族を守り抜こうとする態度はあっぱれ!
演じていたキョン・ミリは、この後どんな役をやっても「あの悪い女」と言われてしまうだろうね。
強烈な印象を残す役どころだったよ!

チェ尚宮の姪で、子供の頃から料理の天才と言われた水剌間の女官クミョン。
少女時代はチャングムに対して、料理について教えるほど親切だった。
料理を担当する頃になると、あらゆる点でチャングムがライバルになってしまい、少女時代とは違う態度を取るようになる。
女官になりたくなかったクミョンだけれど、チェ一族に生まれてしまった不運により、性格まで変わってしまう。
財力のある家柄に生まれても、幸せとは程遠い人生を歩まざるを得なかったクミョンがかわいそうだったよ。

チャングムの養父母は、夫婦漫才を見ているようで面白かった。
頭の回転が速くお金儲けに目がない養母と、お人好しで宮廷の熟手(料理人)の養父なんだよね。
怒鳴り散らす養母も実は心優しい人物で、孤児になった少女チャングムを哀れに思い育てることにする。
養父母には息子がいたはずだけど、いつの間にか亡くなっていることになっていたよ。
チャングムを実の娘のように大事にする様子は微笑ましかった。
この2人が出てくると場が和むんだよね。
「トンイ」の時には掌楽院のファン・ジュシクとパン・ヨンダルが出てきた時も、笑いがあって楽しかったっけ。
イ・ビョンフン監督は笑いの要素を取り入れるのが上手いね!

上に書いた「トンイ」でファン・ジュシクを演じていイ・ヒドが、「チャングム」では悪役だったのが残念だったよ。
チェ一族の党首チェ・パンスルは宮廷に商品を調達する権利を不正に独占し利益を得ている。
妹であるチェ尚宮と悪事を企み、一族の繁栄と存続を考える。
「トンイ」の時とは大きく役どころが違っていて、笑いの要素は一切なし。
いつも「しかめっ面」だったので、「トンイではいい人なのに」と思いながら見ていたよ。(笑)
イ・ビョンフン監督の作品の常連のようなので、他のドラマではどんな役を演じているのか気になるね。

「チャングム」での王様中宗は、公平でとても良い人だったよ。
史実では「朝鮮王朝で類を見ないほどの優柔不断さ」と言われている王様だったようだけどね。(笑)
ドラマでは決断力があり、無理な命令を指示しない礼儀正しい人物として描かれていた。
味の違いが分かるグルメの一面もあって、素晴らしい王様だったよ。
病弱なところは史実通りだったみたいだね。
チャングムは料理でも医術でも関わることになり、王様の信頼を得ることになる。
宮廷の中とはいえ、ここまで王様に近い存在になることは稀だろうね!

他の人物にもエピソードがあるけれど、ここまでにしておこうかな。
次に書きたかったことは音楽について。
「チャングム」の主題歌「オナラ(来るなら)」がずっと耳に残り、ついには一緒に歌うようになっていたSNAKEPIPE。
一度聴いたら忘れられないはず!

ドラマの中盤あたりで、突然主題歌の別バージョンが流れるようになる。

牧歌的な子供の歌声が、まさかテクノになるとはね。(笑)
テクノ・バージョンがとても気に入ったSNAKEPIPEだよ!

「宮廷女官チャングムの誓い」は「トンイ」と同じようなストーリー展開で、すんなり鑑賞することができた。
良い人悪い人の区別がはっきりしていて、見やすいドラマだったよ。
20年前に大人気だったことはよく分かるね。
イ・ヨンエを主役にした「医女チャングム」制作の報道があったようだけど、まだ撮影も始まっていないようだね。
もしドラマが新作として放映されたら観てみたいと思う。
時代劇の巨匠、イ・ビョンフン監督の他の作品も観てみたいと思ったよ。
これもまた温故知新だね!(笑)

ポーランドの巨匠 ヤン・レニツァ 鑑賞

20260315 top
【いつも通り、gggの入口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

ROCKHURRAHに誘われて訪れたのは、ギンザ・グラフィック・ギャラリー
現在開催されているのは「ポーランドの巨匠 ヤン・レニツァ」展で、「斬新な表現で国際的に高い評価を受け、ポーランド派と謳われたポーランドのポスター芸術(展覧会サイトより)」だという。
これはとても楽しみ!(笑)

巨匠と書かれているけれど、恥ずかしながらSNAKEPIPEは初めて耳にしたアーティストだよ。
経歴を調べてみよう。

1928 ポーランド・ポズナンに生まれる
1945〜 風刺漫画・イラストを新聞や雑誌に発表し始める
1947–1952 ワルシャワ工科大学 建築学部で学ぶ
1950 映画・演劇ポスターの制作を開始
週刊風刺誌「Szpilki」のグラフィック編集者となる
1954–1956 ワルシャワ美術アカデミーでポスターの巨匠ヘンリク・トマシェフスキ の助手を務める
1957 映画作家ヴァレリアン・ボロフチクと共同でアニメーション映画制作を開始
1961 ヴェルサイユ国際映画ポスター展でトゥールーズ=ロートレック賞を受賞
1963 パリに移住
1966 第1回ワルシャワ国際ポスタービエンナーレで金メダル受賞
1979–1985 ドイツの University of Kasselアニメーション学科の初代教授・学科長
1986–1994 ベルリンの ベルリン芸術大学(旧Hochschule der Künste)でポスター・グラフィックの教授
1987 ベルリンに移住
1999 カトヴィツェのポーランド・ポスタービエンナーレでグランプリ
2001 死去

17歳の頃から新聞などに作品を投稿していたんだね。
1950年代から「ポーランド派ポスター」の主要人物として認知されていたみたい。
「ポーランド派」とは、イタリアで1940年代から1950年代にかけて盛んだった「ネオレアリズモ」の影響を受けたグループを指すらしい。
それは反ファシズムや社会主義リアリズムへ反抗したムーブメントだったという。
映画監督ではアンジェイ・ワイダが有名なんだって。
同時期の日本では、大阪の具体美術協会がアヴァンギャルドな活動をしている。
戦後、世界中で様々な芸術表現が試されていたんだね!

ギンザ・グラフィック・ギャラリーは、無料とは思えない展示作品数の多さを誇る太っ腹なギャラリー!
撮影もOKしてくれるんだよね。
今回は、作品が全て額装されていたので反射してしまうのが残念だったよ。
少し画像が見づらいけど、許してね。(笑)
気になった作品を紹介していこう!

赤いバックに所狭しと作品が展示されている。
どれから観ようか迷ってしまうほどだよ。(笑)
ちょっと引いて8枚の作品を撮影したのがこれ。
ドビュッシー、ファウスト、モーツァルトなどの文字を読むことができるね。
どうやらこれはオペラの告知ポスターみたい。
ポーランドで公演されたものなのかな?
ヤン・レニツァの作品は、くっきりした大胆な色使いで目を引くね!

会場の一番目立つ場所に展示されていた作品がこちら。
左は1976年「第6回ワルシャワ国際ポスタービエンナーレ」、右は「ヴォツェク」(1964年)オペラのポスターだという。
流線型の中に目や口がある、ちょっと不気味だけどポップな作品は強烈だよね!
赤い作品は展覧会フライヤーに採用されているよ。
濃い赤からピンクまでのグラデーションと太くて黒いくっきりした線がドギツイ。(笑)
SNAKEPIPEが勝手に持っているポーランドのイメージが大きく覆ってきたよ!

ギャラリーの地下に移動する。
こちらにもたくさんの作品が展示されているよ。
ヤン・レニツァは、映画のポスターも手掛けていたんだね。
これはルイ・マル監督の「死刑台のエレベーター(1958年)」のポスターだよ。
下から順に増えていく数字や矢印は、エレベーターを表しているんだね。
有名な映画だけど、SNAKEPIPEは未見かも。
黒い人影のバックが、彌生さながらの水玉になっていて、新聞に載った写真みたいなドットを表現しているのかな。
色合いと構図がカッコいい作品だね!

「死刑台のエレベーター」でヒロインを演じたのはジャンヌ・モローだったね。
同じくジャンヌ・モローを主演にした映画を撮っていたのは、ルイス・ブニュエル監督。
「小間使の日記」を観た時に、こんなに美しい小間使がいるものかと思ったっけ。(笑)
載せた作品は、ブニュエルの「熱狂はエル・パオに達す」(1959年)のポスター。
蝶なのかサソリなのか分からないような生き物が描かれている。
バックのボーダーが強いね。
ここまでズバッと一つのオブジェクトだけを描くアーティストは珍しい気がするよ。

こちらはなんとも抽象的なモチーフだよね。
大島渚監督1976年の作品「愛のコリーダ」は、世界的に注目を浴びた作品。
ハード・コア・ポルノとしてはもちろん、阿部定事件をモチーフにしている点も衝撃的だったはず。
現在とは違って、かつて日本女性は従順というイメージがあったはずだから。
貞淑で楚々とした印象があったはずの日本女性が、まさかあんな行動を取るなんて、世界中の人が驚いただろうね。
そんな映画の世界観を「うねうね」した曲線が絡み合った構図で仕上げたヤン・レニツァはさすが!
直接的に猥褻な絵柄を描かなくとも、淫猥な情欲の世界が分かるもんね。
大島渚監督は、このポスターを観たのかな?

年表に記載されている「1957年からアニメーション映画を制作」に関しての展示もあったよ。
1958年の「ハウス」と1962年の「ラビリント」が上映されていた。
ファッションや使われている素材が興味深く、ストーリーも面白い!
載せた画像は「ラビリント」で使用したアートワークの一部で、複写に手彩色だって。
昔のアニメは1秒間に何枚ものセル画を用意していたので、こうした手作業が必須だったはず。
現在では3Dになったため、使用されなくなった手法とのこと。
「ラビリント」がYouTubeにあったので、載せておこう。
14分のアニメーション、是非ともご覧あれ!

他には、絵本や風刺画もあったよ。
ヤン・レニツァの活動が総合的に理解できる展示数の多さに感謝だね。
販売されていたポスターをROCKHURRAHが買ってくれて、ホクホクしながら帰路につく。
ポーランド派のヤン・レニツァの作品をROCKHURRAH RECORDS事務所に飾るのが楽しみだよ!

テート美術館 - YBA&BEYOND 鑑賞

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【毎度お馴染み! 美術館前の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

2026年2月11日から国立新美術館で開催されている「テート美術館 - YBA&BEYOND 世界を変えた90s 英国アート」を鑑賞してきたよ!
今年、話題の展覧会第一弾だよね。
今まで何度も「早く行っておけば良かった」と後悔することが多かったので、今回は早い段階で訪問を計画したよ。
憧れのテート美術館だもの、善は急げ!(笑)
展覧会のタイトルになっている「YBA」とは、「Young British Artist」の略で、1980年代後半から2000年代初頭にかけて実験的な試みをしたアーティストを指す言葉だという。
90年代のイギリスから、新たなムーブメントが誕生したんだね。

国立新美術館では「東京五美術大学 連合卒業・修了制作展」が開催されていて、いつもより多くのお客さんがいたよ。
1階と2階の会場を広く使用して展示されていて、お目当ての「YBA&BEYOND」会場が分からないほどだった。
「YBA&BEYOND」もお客さんが多く、少し時間をズラして作品鑑賞するようなシーンが何度もあったよ。
それぞれの作品に説明が掲示されていたので、じっくり読んでから鑑賞する順番待ちになってたからね。
説明されないと理解しがたい作品が多かったということになるよ。
撮影は映像作品を除いてOKだったので、良かった!
気になった作品を紹介していこう。

会場入ってすぐにバーンと展示されていたのが、ベーコンさん!(笑)
いきなりフランシス・ベーコンで驚いてしまう。
1988年制作の「1944年のトリプティク(三幅対)の第2ヴァージョン」は、198cm×147.5cmという大きさの作品が3つ並んでいる。
83歳で亡くなったベーコンが79歳頃に制作しているので、晩年の作品なんだね。
引いて遠くから鑑賞しないと全体を確認することが難しいほどの大きさ。
最初にこんな大物が登場するなんて、この先どんな作品と出会えるのか期待しちゃうよ!(笑)

写真の撮り方が難しくて、なんだかよく分からない1枚になってるね。(笑)
これは1991年に発表されたダミアン・ハーストの「後天的な回避不能」だよ!
ガラスケースの中にテーブルと灰皿が置かれている作品なんだよね。
「煙草の吸殻と灰皿を置いたオフィス空間をガラスケースで密閉し、現代において避けられない死とは何かを問う」
ということらしいけど、観ただけでは分からないよ。(笑)
ダミアン・ハーストといえば、2008年6月に観た「ターナー賞の歩み展」でのホルマリン漬けを思い出す。
あの時のインパクトに比べると、かなり地味で観念的だなと感じたよ。

横幅6mを超える大型の作品はギルバート&ジョージが1994年に制作した「裸の目」。
シンメトリーの構図で、何枚ものパネルを組み合わせて1枚の作品として完成させている。
作品のモデルはギルバート&ジョージご本人達で、全裸を披露しているよ。
アップの顔と顔を覆った全裸との対比は、何かお話を考えたくなるね。(笑)
展覧会の入口に「性的な表現があります」みたいな注書きがあったのは、このためか!
第4章のセクションでスティーヴ・マックイーンの映像作品「熊」にも、同様の露出があったんだよね。
ミケランジェロのダビデ像にも、注意書きあるのかなあ?

天井から下がっていたのはクリス・オフィリの「ユニオン・ブラック」で2003年の作品。
ユニオン・ジャックがアフリカン・カラーで構成されているね。
クリス・オフィリは黒人のアイデンティティや歴史などをモチーフに作品制作をしているアーティスト。
2015年5月に「SNAKEPIPE MUSEUM #32 Chris Ofili」で紹介していて、極彩色の鮮やかさに目を奪われたんだよね。
約10年前に自分で書いた記事のことを忘れていたけれど、クリス・オフィリの名前は頭の片隅に残っていた。
そこまでボケてないことが分かりホッしたよ。(笑)

ヴォルフガング・ティルマンスの小型の作品が11点展示されていた。
画像一番左は展覧会フライヤーに採用されている「ザ・コック(キス)」で2002年の作品。
中央の作品は「みなとみらい21」だって。
横浜で撮影したのかもしれないね?
ここらへんまで観てきて、ヴォルフガング・ティルマンス、ギルバート&ジョージ、スティーヴ・マックイーン、マーク・レッキーと表参道のエスパスルイヴィトンで作品を鑑賞しているアーティストだと気付く。
エスパスルイヴィトンの展覧会情報もチェックしておかないと、と改めて思ったよ!

マーク・クインが1991年に自分の血液10パイント(5.5リットル!)を凍らせて作成した肖像作品について書かれた雑誌「フェイス」(画像左)を読んで、恐ろしくなる。
アート作品制作のために命がけじゃないの!(笑)
画像右は、今回展示されていた1996年の「逃げる方法が見当たらないIV」で、こちらもモデルはマーク・クイン本人なんだよね。
自分の裸体をポリウレタン・ラバーで型取り、真っ二つにして、裏側を宙吊りにしている。
「変容の究極の瞬間、暴力的な脱皮」とマーク・クインが説明しているようだけど、怖い作品だったよ。
2014年8月に鑑賞した「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展」で観たケイト・モスの彫刻作品「スフィンクス」とは印象が違ったね!

アニッシュ・カプーアが1998年に制作した「傷と不在のオブジェクト」は横幅56.5cmの9枚組写真作品。
展示されていた時は横並びだったけれど、9枚をまとめてみたよ!
色彩がとても美しい。
この作品はイギリスのテレビ局で1997年に放映された映像を切り取り、静止画として版画にしているという。
カプーアは子宮と洞窟をイメージして制作したみたい。
意味を考えなくても、抽象的なイメージと色使いだけで充分な気がするよ。
カプーアのアートを鑑賞していると空間や距離の知覚が曖昧になることがあり、その感覚が楽しいんだよね。
「傷と不在のオブジェクト」も、じっと観ていたらトリップしそうだよ!(笑)

グレイソン・ペリーの壺も「ターナー賞の歩み展」で観ていて、欲しくなった作品だよ。
なにやら残酷そうな絵柄で、宮川香山みたいに立体物が貼り付けてあるところも面白い。
ROCKHURRAHもとても気に入ったようで、「欲しい」と言っていたよ。(笑)
ミュージアム・ショップにグレイソン・ペリー「私の神々」をモチーフにした巾着があることに気付いたのは、ROCKHURRAHだった。
壷型になっていて、上部を紐で閉じられる造りになっている。
観た瞬間に興奮したSNAKEPIPEにプレゼントしてくれた!(笑)
2023年9月の「テート美術館展」でも、ウィリアム・ブレイクの「善の天使と悪の天使」をモチーフにした「キモカワ」系のポーチをプレゼントしてもらったっけ。
いつもありがとう、ROCKHURRAH!(笑)

2025年4月に「SNAKEPIPE MUSEUM #75 Mona Hatoum」で特集したモナ・ハトゥムの作品が展示されていた。
1999年制作「家」は、木製のテーブルの上に15個のスチール製キッチン用品と電球がセットされている。
どのタイミングになるのかハッキリ分からなかったけれど、たまに電球が明るく光るんだよね。
1個だけのこともあれば、3つ同時に点灯することもある。
じっくり待って、3つが光ったところを撮影してみたよ!(笑)
「骨の折れる家事労働の苦痛と性別役割分業が生む閉塞感を暗示」していると説明されていた。
文章読まないと意味が分からないかも。(笑)
SNAKEPIPE MUSEUMで紹介した時もインダストリアルな素材と光を組み合わせた作品が多かったな。
作品の解釈を調べずに感想を書いていたけれど、きっと難解な表現だったんだろうね。
ブログで紹介したアーティストの作品を実際に目にすることができたことが嬉しいよ!

最後はこちら。
コーネリア・パーカーの「コールド・ダーク・マター:爆発の分解イメージ」、1991年の作品だよ。
展示室を目一杯使ったインスタレーションで、部屋に入る時「作品に触れないようにご注意ください」と係の方からお声がけされた。
木材や金属、プラスチックといった破片が、天井からワイヤーで吊るされている。
イギリス陸軍によって爆破された物置小屋の破片を拾い集めた作品らしいよ。
「破壊と創造」「重力からの解放」などを意味しているんだとか。
一番上に載せた看板にも使用されている、今回の展覧会を象徴する大型作品だね。
コーネリア・パーカーの名前は初めて知ったので、今回作品を鑑賞できて良かったよ!

「テート美術館 - YBA&BEYOND 世界を変えた90s 英国アート」を鑑賞した感想をまとめてみたよ。
今回の展覧会は映像作品が多かったんだよね。
そしてそのほとんどが意味不明で、SNAKEPIPEには響かなかったのが残念。
ベーコンから始まったので期待が大きかったせいもあるけれど、そこまでグッと来る展覧会ではなかったのが正直なところ。
実際に観たから言える感想なので、行って良かった展覧会だよ!(笑)