ワールド・クラスルーム 鑑賞

20230709 top
【展覧会入り口の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

7月5日はROCKHURRAHの誕生日。
おめでとう、ROCKHURRAH!(笑)
ここ数年、誕生日と休日が重なることが少なかったので、今年は休んでお祝いすることにしたよ!
森美術館で開催されている「ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会」を観に行くことにする。
NHKで放送している「日曜美術館」でも紹介されていたので、どんな作品が展示されているのかある程度知っていたんだよね。
テレビで紹介された作品だけではないので、実物を観てみることにした。
天気の良い暑い日、ROCKHURRAHと六本木に向かう。

前回SNAKEPIPEが森美術館を訪れたのは、2022年3月の「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」以来、ROCKHURRAHに至っては2019年12月の「未来と芸術展」からおよそ3年半ぶりの訪問になるんだね。
開館と同時刻に予約していたのにも関わらず、エレベーターを待つお客さんでいっぱい!
こんなに人が多いのかと驚いていたら、どうやら別会場で開催されているディズニー・アニメーションの来場者がほとんどで安心する。
2018年3月に鑑賞した「レアンドロ・エルリッヒ展」で、チケットを購入するまでに約40分程度並んだ苦い経験があったからね。
コロナの影響で、チケット予約制度が確立したのは喜ばしい。
安心感があるからね!

入場すると最初に展示されていたのは、ジョセフ・コスースの「1つと3つのシャベル」。
この作品は撮影禁止だったけれど、テレビでは紹介されていたんだよね。(笑)
同様にヨーゼフ・ボイスが1984年に東京藝術大学で講義をした時の黒板も撮影禁止。
こちらも日曜美術館で説明があった作品だったので、不思議に感じてしまう。
公共放送と一般レベルの撮影の違いってなんだろうね?

撮影オッケーだった作品の感想をまとめてみよう。
展覧会は「国語・算数・理科・社会・哲学・音楽・体育・総合」で区切られていたよ。
かなり「こじつけ」っぽかったけど、面白い試みだよね。(笑)

森村泰昌の作品は「社会」に分類されていた。
画像上は1989年の「肖像(双子)」で、下は2018年の「モデルヌ・オランピア2018」。
マネの「オランピア」をモチーフにした作品を、更にセルフ・カヴァー(?)したということになるんだね。
もう森村さんに何も言うことはありません!
どんどん好きなこと、やっちゃってください!(笑)
楽しみに待ってます!

2009年に森美術館で開催された「アイ・ウェイウェイ展」に行かなかったことを今でも後悔しているSNAKEPIPE。
当時は「中国の現代アーティスト」と聞いても、あまりピンと来なかったんだよね。
「漢時代の壷を落とす」は3枚の連続写真で構成された作品。
漢時代とは前漢と後漢の総称らしく、紀元前206年から紀元後220年までの中国王朝を指すという。
手前も貴重な壺らしいんだけど、「コカ・コーラ」のロゴが描かれていて、社会的なメッセージを投げかけているんだろうね。

パンクロック・スゥラップの作品は、どうやら2017年9月の「サンシャワー:東南アジアの現代美術展」で鑑賞していたSNAKEPIPE。
作品リストに説明がされていたので、当時撮影した画像を確認してみたら、撮影していたことが判明。
「この作品面白いね」などとROCKHURRAHに話かけていたけれど、2017年のことを失念していたよ。
パンクロック・スゥラップはPUNK ROCKではなくPangrokで、多様なメンバーで構成されたマレーシアのコミュニティだという。
「どうやら3つの国家の統治は簡単にはいかなそうだ」というタイトルの作品は、マレーシア、フィリピン、インドネシア3国の連合体に関しているらしい。
社会派アート集団なんだね。

「Lime Works」から大ファンになった畠山直哉の作品も展示されていたよ。
2011年10月に東京都写真美術館で開催された「畠山直哉展 Natural Stories」以来、まとまった展示を鑑賞するのは久しぶりかもしれないと思っていたら、2017年の「ヨコハマトリエンナーレ」でも作品を鑑賞していたことが分かった。
記憶力が低いなあ。(笑)
「陸前高田シリーズ」は、静謐で彼方が霞み、儚い印象を受ける作品だった。
撮影地を知らないと、日本ではない場所のように見えるスタイリッシュさは健在だね!

青山悟の作品は、「六本木クロッシング2010」「ヨコハマトリエンナーレ2017」でも鑑賞したね。
工業用ミシンでミッチリと刺繍された作品は、インパクトがあるよ。
室内を暗転させ、ポッカリと浮かび上がる展示方法は効果的だったね。
久しぶりに観たけれど、やっぱりとても好きな作品群だよ!
ウチにある工業用ミシンでも作成できるんだろうか?(笑)

今回の展覧会で最も驚いたのがアラヤー・ラートチャムルンスックのビデオ作品だったよ。
「授業」というタイトルで、教授としてアラヤー本人が出演し、引き取り手のない6体の遺体に死についての講義をしている。
ブラック過ぎるブラック・ジョークだよね!
アラヤーの経歴を調べると、「タイのシラパコーン大学で版画を学び、ドイツのブラウンシュヴァイク美術大学に留学し修士号を取得。その後、30年にわたりチェンマイ大学で教鞭をとる(森美術館より)」というから、驚いてしまう。
アラヤーも「サンシャワー展」に出品していたらしいけど、ビデオ作品は最後まで鑑賞することが少ないので記憶に残りにくいよね。
今回の作品はバッチリ覚えたよ!(笑)

宮島達男の作品は見間違うことがないよね!
少し離れて鑑賞すると、床に反射した光まで含めて美しい赤色を堪能できる。
画像は引いた状態(上)とアップ(下)を2枚つなげているよ。
上部は、まるでマーク・ロスコみたいだね!
近づくと、無数の数字が並んでいる。
LEDの一つ一つが生命を表し、9から1へとスピードを変えてカウントしているという。
0は死を意味し暗転するんだとか。
そしてまた9からスタートするというので、輪廻転生なんだね。
デジタルと仏教的な思想が融合した作品、素晴らしい!

杉本博司の「観念の形」シリーズは初めて鑑賞する作品だよ。
三次関数の数式を立体化した小さな模型を撮影したんだとか。
展示された作品の横に書かれていた数式を解くと、あの形になるんだろうね。
建築家がイメージする世界を肖像写真として作品化したという解説を読んだよ。
説明を受けなくてもカッコ良い作品群だけど、説明を受けて更に魅力が増したね!(笑)

2022年7月にミヅマアートギャラリーで開催された「くぼみに眠る海」の宮永愛子も展示されていたよ。
感想をまとめたブログで「全体的にロマンチックな少女趣味だったため、
SNAKEPIPEは少し居心地が悪くなった」と書いている。
今回の展示は全てナフタリンで作成された靴で、可愛らしい作品だったよ。
やっぱりSNAKEPIPEには向いてないかも。(笑)

福岡の太宰府天満宮に所蔵されているという田島美加の作品。
背面からのライトにより、淡い色彩が浮かび上がり神秘的だったよ。
それはまるで原始の記憶を呼び起こすようなイメージ。
夕暮れ時や朝日が昇る空を見ていた遠い祖先を連想してしまう。
田島美加は、ロサンゼルス生まれの日本人だという。
アメリカに生まれ育ったアーティストの作品をもっと観てみたいね!

ヤン・ヘギュの「ソニック・ハイブリッド」は、とてもユニークな作品だった。
まるで子供が描いたロボットみたい。
鑑賞した時は静止していたけれど、どうやら動くみたいだね。
画像左の緑と紫の作品は「移り住む、オオタケにならって」という副題が付いている。
オオタケとは、大竹伸朗ではなく大竹富江というアーティストのことだって。
背景も含めてカラフルで楽しい空間だったよ!

ヤコブ・キルケゴールの「永遠の雲」は、薄衣のようなスクリーンに繰り返し雲が映し出されるビデオ作品だったよ。
ベンチに座って鑑賞してみる。
空っぽの空間に浮かぶ雲は、ゆったりしていて観続けると意識が飛びそうになる。
重低音のサウンドも含めての作品なんだけど、SNAKEPIPEの好みとしては音がないほうが良かったかも。
調べてみるとヤコブ・キルケゴールは、サウンドと映像のアーティストなんだとか。
音がないほうが好きと言ってごめんなさい!(笑)

「ワールド・クラスルーム」は全体的に物足りない展覧会だったかも。
ワールドと銘打ってる割には、アジア中心だったし。
今まで全く知らなかった作品に興奮することが少なかったからね。
前述したように「こじつけ」感が強いな、というのが正直なところ。
次の展覧会に期待だね!(笑)

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